本物を知るということ

よもや自分がフランスを訪れるとは思っていなかった。
というのも私は昔からなんとなくフランスというとプライドが高そうだし、日本人がブランド品を買いあさって恥をかいているのではないかという先入観があったからだ。

そんな私にフランスはパリに住む友人が是非来いと強烈に何度もアタックをかけてきた。
私は数回は断っていたのだが、ある日ふと格安航空券に目をやるとパリ行きが以上に安い値をちらつかせていたので重い腰をようやくあげ、予定をたてた。

友達は大喜びしてまだ運転しなれていない町なのに、人二人乗ったら酸素が減って苦しくなってしまうような小さな小さな赤い車を飛ばして約束の場所まで迎えに来てくれた。
飛行機に乗るときよりも断然彼女の運転の方が怖かったけれども何とかセーヌ側の見られる天井の高い落ち着いたアパ-トへとたどりついた。

彼女は新鮮な野菜やプロフェッショナルが作るケーキのようなパテ(パンにぬるペースト状の肉や魚で作られているかたまり)が売っている週末のマ-ケットや、美しく計算された庭園、デパ-トなどと連れ出してくれて、そのどれもに心が躍ったが、何よりいつか教科書でみかけたあのル-ブル美術館に連れて行ってくれたことは本当に嬉しかった。

彼女の言うとおりこの美術館の中でリラックスしてただ単に暇をつぶしている人、写生している学生、真剣に絵を評価している子供もいた。
彼女が言うにはフランス人は小さな頃から美術館や博物館に行って本物を見る努力をしているそうだ。

本物の音楽、本物の絵、本物の味を知ることが人生を豊かにし、その人を魅力的な人にする、とも言っていた。
確かロンドンのミュ-ジアムもいつでも無料で入場できて芸術が身近だったな、とふと思い、改めてヨーロピアンの芸術に対する距離を羨ましく思った。

話をしていていつも思うのだが彼女もフランス人の他の友達も意外に私より日本の事も知っている。
しかも以外に日本のファッションや文化を素晴らしいと思ってくれていて、その賞賛を聞いているこちらが少し照れてしまうことさえある。

ファッションや芸術に興味がある多くの日本人がアウトドアで有名な国に行くのではなく、パリを目指すので少々評判がよくなっているのではと思うのだが、ブランド品を意味や歴史を理解せず買いあさっている日本人の評判に注目せず優しく接してくれる人がいるとフランスも悪くないなと思う。

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